9月末に8月から実施していた2019年のソナスの夏期インターンが終了しました。
報告が遅れましたが、2019年ソナスの夏期インターンについて、実施内容の詳細をお伝え致します。
ソナスの夏期インターンの概要
ソナスの夏期インターンは2018年に始まり、2年連続で実施しました。2018年の参加人数は5名、2019年も5名でした。夏期インターンの実施時期は、2019年8月〜9月です。
2019年の夏期インターンの内容は、無線通信やセンシングにまつわる技術的な課題について、8月から1ヶ月〜1.5ヶ月をかけて学生さん一人一人が異なる課題に取り組むといった内容となっています。学生さんが課題に取り組むにあたり、学生さんだけで取り組むのではなく、弊社社員がメンターとして課題の解決をフォローをします。各課題の詳細な内容については後述しますが、どの課題もハードウェアとソフトウェアをどちらも触れる機会がある内容となっています。
また、インターン期間中の勤務時間に関しては、各自の自由となっています。活動時間が自由なら課題が終わらないのではないか?と、疑問を持たれる方もいるかと思います。それについては面接時に、週どれくらいの時間参加可能かをヒアリングし、活動時間に適する課題を設定の上、無理のないスケジュールを事前に計画することで対応をしています。今回参加された学生さんは任意の時間で週に3〜4日程度活動される学生さんが多かったです。
どういった学生さんが参加したか
今回のインターンに参加した学生は、東京大学から3名、大阪大学から1名、山口大学から1名でした。学年は3年生が最も多かったですが、博士の学生も参加しています。
ソナス2019年夏のインターンで実際に学生さんが挑戦した課題
今回夏期インターンに参加された5名の学生さんが取り組んだ、5つの課題を紹介します。
1. M5StackによるUNISONet検証用端末の開発
M5 Stackという、IoT技術を使ったDIYの界隈で近年人気を集めているマイコンのシリーズがあります。
M5 Stackの特徴はマイコンボードにディスプレイやセンサなどが搭載されていながら、価格は2,000円前後からと非常に安価であることです。ソフトウェアの開発環境はArduinoで、M5Stack向けのライブラリを適宜使用しつつアプリケーションを開発します。このマイコンを使用し、UNISONetの設定作業やテストに最適な専用デバイスを作りました。
実際に作った端末のイメージはこちらです。以下の画像は、UNISONetネットワークの3つのセンサノードから送られてきた、加速度のデータを可視化している様子です。
2. UNISONetを使用した在庫管理システムの開発
弊社の内部的な課題として、在庫管理の一部を自動化があります。在庫管理を自動化する、と簡単に言っても、実際の在庫は棚にある物体を対象とするため、この課題を進めるにはソフトウェアとハードウェアの両面からのアプローチが必要となっています。
ソフトウェアも当然開発しますが、中でもこの課題において学生さんには、物体を計量する部分のパーツの自作から、外装の部分の設計までハードウェアにまつわる全てをやるのが他課題とは異なる点となっています。
担当した学生さんは、工作室の3Dプリンタを短時間で難なく習得し、パーツを生成していました。本人は3Dプリンタについて、少々の経験があるという話でしたが、見事に思うようなパーツを設計し、出力していたのが印象的でした。
3. 無線到達距離の実地評価
無線通信は、ご存知の通り、環境によって到達距離が大きく変わります。本テーマでは、見通しの良い河川敷で、どの程度無線が飛ぶのかを検証しました。UNISONetとLoRaを対象に行いました。
担当の学生さんは、パケット到達率を評価するため、LoRaの評価キットを用いてマイコンに対しプログラミングを行いました。また、遠隔にある複数台の通信機のパラメータを同時に変更するために、LTEを介して通信パラメータを変える機能を実装しました。
4. Dashを用いた新センサの実装
Dashは、UNISONet搭載製品を用いて高速に実証実験を行うための基盤技術およびそれを用いたPoCサービスの名称です。
この課題では、Dashを用いてさまざまなセンサを使ってUNISONetでのデータ収集システムの開発を行いました。ここで開発された製品の一部は、追ってリリースされる予定です。
5. UNISONetの通信原理についての研究
UNISONetの通信には同時送信フラッディングという仕組みを利用しています。同時送信フラッディングがうまく機能するかは、物理層の変調方式やパラメータに大きく依存します。
現在UNISONetで採用している物理層技術について、シミュレーション/エミュレーションにより、強め合う条件、弱め合う条件などを、詳細に検証するというのが本テーマです。難易度の極めて高い課題でしたが、無線通信を研究する博士の学生さんが専門性を活かして、見事に結果を出してくれました。
インターン期間のイベントの様子
インターン期間にあるイベントの様子を写真を交えながら簡単に紹介したいと思います。インターン期間にある大きなイベントは3つで、中間報告会、最終報告会、最終報告会後の打ち上げとなっています。
中間報告会
中間報告会は、主に弊社の創業メンバー向けに報告をおこないました。発表時間10分、質疑応答10分の時間を持ち時間とし、報告を行います。
中間報告会の実施時期は、夏期インターンが開始して3週間ほどの時期です。中間報告会の目的は、活動状況の進捗確認も大きな目的ではありますが、課題で「もっとこうしたほうが良くなるのではないか」であるとか、「こういう問題があるのではないか」など、普段の活動では見えない課題や改善点の洗い出しをすることが目的です。
中間報告会後の動きを振り返ると、報告時のフィードバックで得た課題や新しいアイディアをもとに、最終報告会までのスケジュールを調整するような方が多かったです。
最終報告会
最終報告会は、夏期インターンが終わる9月の最終週に実施します。
中間報告会では、創業メンバー数名に向けたプレゼンテーションでしたが、最終報告会では全社員向けと規模が一段と大きくなります。今回参加した5名が、写真では少々暗いですが、執務室エリアで全社員に向けて活動の成果報告をおこないます。
夏期インターンの特性上、学生さんは開発者よりの人材と関わることが多いのですが、今回ビジネス側の人材から「この課題を発展させてよりよいものを作るべき」などといった反響があるなど、発表は大いに盛り上がりを見せました。
打ち上げ
オフィス近くの焼き肉屋で最終報告会の後に打ち上げを行いました。インターン期間中に、学生さんとはランチによく行くことがありましたが、インターン期間中に飲み会を開催できていなかったので、会食にて学生さんとざっくばらんにお話できて楽しかったです。
担当者からのメッセージ
弊社の人材採用ポリシーとして、雇用する側・される側が対等であるというポリシーがあります。
採用する側としては、学生さん個人の保有するスキルセット、また参加される学生さんが弊社のインターンに何を求めているのか、学生さんとのニーズと弊社側のニーズのマッチには担当者として特に気をつけました。
その結果、学生さんからは、インターン終了後のフィードバックにて、取り組んでもらう課題や実際の内容については、全員から「事前説明と齟齬がなかった」という回答を得られました。
学生さんからこのようなフィードバックが得られて幸いではありますが、もちろん反省点もあります。課題のマイルストーンを活動のなかで徐々に決めていくような場面もあるなど、至らない点もありました。今後のインターン企画では今回の反省点を踏まえて改善し、より魅力的なインターンにしていきたいと思っています。